軽度認知障害(MCI)について

特集 No.168 2020年5月発行

最近テレビCMなどで話題の軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)についてご紹介します。

MCIとは、認知機能には障害がでてくるものの、自立した生活が送れている、認知症とはいえない状態のことをいいます。

健常状態と認知症の中間の状態で、「認知症予備軍」ととらえるとわかりやすいかもしれません。


MCIはそのまま放置すると認知症を発症する確率が高い一方、早期に発見し適切に予防をしていくことで認知機能低下の緩和や健常状態に回復する場合も少なくないようです。

(認知症ねっとHPを参考に作成)

MCIの特徴として厚生労働省は下記のように定めています

  • 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
  • 本人または家族による物忘れの訴えがある。
  • 全般的な認知機能は正常範囲である。
  • 日常生活動作は自立している。
  • 認知症ではない。


具体的な症状として


    • 少し前に聞いたことを忘れて何度も確認を繰り返す
    • 世間を騒がせた最近の大きなニュースの記憶があいまい
    • 少し前のことでも忘れてしまうことがよくある などがあります。


MCI認知症
物忘れを自覚している物忘れを自覚していない
日常生活は自立日常生活に支障がでる
全般的な認知機能は正常体験したこと自体を忘れる
早期の治療で回復する場合がある時間と共に進行する

MCIを予防しましょう

  • 食事
    体の酸化を防ぐポリフェノール(ぶどうやコーヒー、大豆など)の摂取や、脳のはたらきを助ける成分が豊富な青身の魚(イワシ、サバ、サンマなど)をバランスよく摂りましょう。ただし、塩分、脂質は控え目にしましょう。
  • 運動
    20〜30分の有酸素運動(ウォーキング、水泳、ヨガなど)を週3回のペースで行いましょう。
    筋力トレーニングも効果的です。詳しくはひまわり通信No.167で紹介しています。
  • 脳のトレーニング
    パズルやしりとりなど楽しみながら行えるものを日頃の生活に取り入れましょう。
    家族や地域の仲間とコミュニケーションをとったり、認知症を学び今後に備えることも大切です。
  • 睡眠
    脳を活発に動かした後は、しっかりと休息をとりましょう。
    朝起きて、夜に寝るという当たり前の日課が体や脳にいい効果を与えます。
    ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。睡眠時間にこだわりすぎて睡眠導入剤の服用を続けると逆に認知機能の低下につながると報告されているので注意が必要です。


近年では、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が認知症の発症や進行に関与すると言われています。

日頃から食生活の改善や運動などを取り入れ認知症を予防し、これからの人生を豊かに過ごすための準備をしましょう。

日常生活における変化に気付き、MCIのセルフチェックをしてみましょう

  • 物忘れが目立つようになった
  • 仕事や家事にかける時間が延びた
  • 何となく元気や意欲がなくなった
  • 普段と違う行動をとるのが面倒になった
  • 趣味から遠ざかるようになった
  • 付き合いの範囲が狭くなった

これらはあくまでもMCIの兆候に気がつくためのきっかけです。
日頃の行動や言動を観察することや、かかりつけの医師や専門知識を持った医師の正しい判断と指示を受けることも予防のひとつになるかもしれません。

(参考文献:認知症疾患診療ガイドライン2017)
(薬剤師 成田 しほ)