運動でサルコペニアを予防しましょう

特集 No.184 2023年1月発行

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、体を動かすことが少なくなっていませんか?

外出したり、体を動かす機会が少なくなったりすると、身体機能が低下するだけでなく、知らないうちにストレスもため込んでしまいます。


動かないことにより身体だけでなく頭の働きも低下し、転倒による骨折をきっかけに寝たきりになってしまうこともあります。


2019年の国の調査では、高齢者で介護が必要になる原因の12.5%が骨折で、外よりも家の中での転倒が多くなっています。階段やお風呂場での転倒も多いですが、居間、リビングなどの日常生活をする場所での転倒も少なくありません。

サルコペニアという言葉を知っていますか?

サルコペニアとは、ギリシャ語で筋肉を意味するsarx(サルコ)と喪失を意味するpenia(ペニア)の2つを合わせたもので、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。サルコペニアになると、歩く、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作に影響が生じ、介護が必要になったり、転倒しやすくなったります。サルコペニアはフレイル(※)に繋がり、フレイルになるとさらにサルコペニアが進むなど、このふたつの状態はお互いに関連し合い、悪循環となることもあります。


そうならないためにも、家の中でもできる簡単な運動を行なって筋力を鍛えましょう。


※フレイル:健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと。
(詳しくはひまわり通信No.163「フレイルを知って介護予防」をご参照ください)

●立って行う運動


①4分の1スクワット
(1)両足を肩幅よりも少し広めに開いて立ちます。
(2)上体をまっすぐにしたまま、4秒くらいかけてゆっくりとひざを曲げて腰を落とします。4分の1くらいの軽めの屈曲で十分です。
(3)4秒くらいかけてゆっくりとひざを伸ばし、元の姿勢に戻ります。
1セット20回、1日3セットを目安にしましょう。


●立って行う運動 画像を右に


①4分の1スクワット

(1)両足を肩幅よりも少し広めに開いて立ちます。
(2)上体をまっすぐにしたまま、4秒くらいかけてゆっくりとひざを曲げて腰を落とします。4分の1くらいの軽めの屈曲で十分です。
(3)4秒くらいかけてゆっくりとひざを伸ばし、元の姿勢に戻ります。
1セット20回、1日3セットを目安にしましょう。



②つま先立ち
(1)軽く両足を開き、いすから少し離れて立ちます。
(2)つま先を軸にして「1・2・3・4」でゆっくりとかかとを上げ、「1・2・3・4」でゆっくりとかかとを下ろします。
※バランスが取りにくいときは、いすの背や机などに手をそえて行うとよいでしょう。
1セット20回、1日3セットを目安にしましょう。


②つま先立ち
(1)軽く両足を開き、いすから少し離れて立ちます。
(2)つま先を軸にして「1・2・3・4」でゆっくりとかかとを上げ、「1・2・3・4」でゆっくりとかかとを下ろします。
※バランスが取りにくいときは、いすの背や机などに手をそえて行うとよいでしょう。
1セット20回、1日3セットを目安にしましょう。



③壁腕立て伏せ
(1)両足を肩幅くらいに広げて、肘が軽く曲がるくらいで壁に手を付けます。
(2)息を吸いながらゆっくりと肘を曲げて、息を吐きながらゆっくりと肘を伸ばします。
この時、背筋はできるだけ伸ばしたままにしましょう。
1セット10回、1日3セットが目安です。


●座って行う運動


①片足上げ

片足を床と水平になるまでゆっくりと上げます。(難しいときは上がる高さまでで良いです)
上げるときと同じくらいの時間をかけてゆっくりと下ろします。
1セット10回、1日3セットが目安です。


●座って行う運動


①片足上げ

片足を床と水平になるまでゆっくりと上げます。(難しいときは上がる高さまでで良いです)
上げるときと同じくらいの時間をかけてゆっくりと下ろします。
1セット10回、1日3セットが目安です。



②グーパー体操
両手を前に伸ばした状態でグーパーグーパーを繰り返します。
指の関節可動域(関節が曲がる範囲)と握力の維持が期待でき、腕を前に伸ばしたままで行うことで、腕をあげるための筋肉も鍛えることができます。
1セット30秒、1日3セットが目安です。


③手のひらの押し合い
(1)椅子に腰かけて、胸の前で手を合わせ、ひじを開きます。脇はこぶし1個分ほど開きます。
(2)合わせた両手を押し合うように力を入れ、同時に胸にも力を入れます。※合わせた手は、身体の真ん中に位置するように力を出し合いましょう。
(3)5秒ほど力を入れたら、ゆっくりと力をゆるめます。
無理のない範囲でゆっくりと、(1)~(3)をくり返します。
1セット5~6回を1日3セットが目安です。


③手のひらの押し合い
(1)椅子に腰かけて、胸の前で手を合わせ、ひじを開きます。脇はこぶし1個分ほど開きます。
(2)合わせた両手を押し合うように力を入れ、同時に胸にも力を入れます。※合わせた手は、身体の真ん中に位置するように力を出し合いましょう。
(3)5秒ほど力を入れたら、ゆっくりと力をゆるめます。
無理のない範囲でゆっくりと、(1)~(3)をくり返します。
1セット5~6回を1日3セットが目安です。



運動は健康への一歩ですが、食事をきちんと摂ることも大切です。特にタンパク質は筋肉を作るので、サルコペニアやフレイルを予防するために必要です。タンパク質は納豆、豆腐などの大豆製品、チーズや牛乳などの乳製品、卵、肉、魚介類などに多く含まれています。


身体面でも精神面でも健康な暮らしに欠かせない運動は、自分自身が楽しめて継続することがポイントです。それぞれの健康状態に合った運動を日々の生活に取り入れて、豊かな暮らしづくりを心がけていきましょう。

(薬剤師 片野 智)

※記載された情報は発行日時点の情報です。
ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。